薩摩川内市の西開聞町。川内川と隈之城川との合流点近くに位置する『蔵の家 / 大樹』。
川沿いの穏やかな空気が流れるこの場所で、重永事務長と有村施設長に話を伺った。
事務長の重永さんと、施設長の有村さんに話を伺うと、真っ先に出てきたのは「利用者様と職員の幸せ」への揺るぎない想い。
「お口の健康を守ることが、元気の源になる」と専門的な視点で支える重永さん。
異業種からこの道に飛び込み「スタッフが互いに助け合える環境」を大切にしながら考える有村さん。
一見異なるバックボーンを持つ二人の情熱が、現場の隅々まで浸透しているからこそ、未経験から入ったスタッフも「ここでずっと働きたい」と口を揃える。
『蔵の家/大樹』が本気で取り組む、新しい介護のカタチを覗かせてもらった。

事務長の重永さんと、施設長の有村さんにお話を聞きました!
今回は事務長の重永さん、「住宅型有料老人ホーム蔵の家」で施設長の有村さんにこの法人、施設として目指していく方向性や課題など含め回答頂きました。


かいご図鑑編集部重永さん、有村さん、今日はよろしくお願いします!



こちらこそよろしくお願いします!



よろしくお願いします!



お二人の想いを伺う事が出来れば、今の『蔵の家/大樹』が大切にしているものがより深く理解できそうだなと思いまして。
まずは事務長の重永さん、もともとは歯科技工士として歯科業界にいらしたんですよね?
歯科の現場で見た「お口の健康」への危機感と、自分たちで施設を作った理由



そうなんです。もともと介護職というわけではなく歯科技工士として働いていました。
主人が歯科クリニックを経営しており、そこで働く中で私自身も患者様とお話をしたり、行政、高齢者施設の方々とお話する機会が多かったんです。



そこからどういう流れで介護施設の運営、事務長というポジションをされていく流れになったんでしょうか?



歯科の現場にいると、知識として「口腔ケアが大切」なのは分かっていても、現実には適切なケアが行き届いていない高齢者の方々を目の当たりにすることが多くて……。



具体的にはどのような状態だったんでしょうか….?



特に寝たきりの方などは、ご自身で不調を訴えることが難しいんです。
口の中が言葉にできないような状態になっているのを見て「これはどうにかしないといけない」と強く感じました。
「お口の健康を守ることが、人生の質を支える」と確信していたので、それなら自分たちで施設を作って、利用者様には正しい口腔ケアを徹底して行っていこうと決意しました。



『蔵の家/大樹』の原点ですね!
全ての介護施設などで口腔ケアは取り組まれているかと思いますが、歯科のプロだからこそ見過ごせなかった想いが、この施設の土台になっているんですね。
そして、その想いを現場で形にしているのが施設長の有村さん。
なんと30歳までは全く別の業界にいらっしゃったとお聞きしました。



はい、30歳までは健康器具や健康食品の営業をやっていましたね。



営業マンから医療福祉の業界へのチャレンジは何かきっかけがあったんですか?



身内が病気になったとき、自分に知識がなくて何もできなかったのが悔しくて。
「もっと自分にできることはないか」と考えて、一念発起して看護学校に入り、看護師免許を取ったんです。



すごい行動力ですね!!
そこからどういう経緯で『蔵の家/大樹』に来られたんですか?



知り合いがここで働いていた縁もあって、重永さんから「熱烈なオファー」をいただいたんです(笑)。



共通のお知り合いの方からもとても良い方とお聞きしていたので、来て頂いて感謝していますし、施設長もお任せしているので欠かせない人材です。



今では『蔵の家/大樹』で8年目。
重永さんの「口腔ケアへの重要性」や「利用者様やスタッフの皆さんが幸せになる」という事を現場でどう形にするか。
それを考えるのが私の使命になっています。



「蔵の家/大樹」に関わる皆さんが少しでも良い状況になっていく為の施策などもぜひ後ほど教えて下さい!
まずはお二人が働く「蔵の家/大樹」がどのような施設なのか、概要を教えていただけますか?
『蔵の家 / 大樹』の事業所概要
■住所:鹿児島県薩摩川内市西開聞町12-2
■運営法人:株式会社 WILL WAY ESTATE
■運営事業所:住宅型有料老人ホーム蔵の家(定員30名) / 高齢者専用サービスアパートメント大樹(定員36名)



住宅型有料老人ホームをメインで運営されていらっしゃるんですね!



はい!
有料老人ホーム以外にも関連事業所として訪問介護事業所、通所介護事業所なども運営しており、訪問看護ステーションも協力事業所としてあります。



それではもう少し「蔵の家/大樹」の深いところを教えてください!
『蔵の家/大樹』を、ただの施設で終わらせない。「家族」であり続けるための合言葉


「もし自分の家族だったら、どうしてあげたいか?」
インタビュー内で重永さんが何度も発せられたこのキーワード。
それが単なる表向きの目標やスローガンではなく、職員一人ひとりの日々の行動にまで落ちているのが、この場所の温かさの正体だと感じました。
建物は施設であっても、そこで交わされるやり取りは「家」や「家族」そのもの。
そんな現場のリアルな空気感を聞いてみました。



事業所名にも込められた「家」という想い。現場ではどのように現れているんでしょうか?



うちはとにかく、利用者様との距離が近いように感じます。
スタッフが利用者様から、下の名前で呼ばれている光景も珍しくないんです。



下の名前で呼んで頂けるのは信頼してもらっているからこその証じゃないですか?
事務的な関係を超えた、本当の家族や親戚のような距離感に感じます!



スタッフ側から利用者様に「下の名前で呼んで欲しいと」とお願いしているわけではなく自然になっているので、本当にそう思います。
呼ばれるスタッフもそれを誇りに思っていて、私も呼んで頂いたときはうれしかったですね。
「自分の親だったら何が最善か?」を常に考えてケアしているからこその結果だと思いますし、利用者様にも心地良い環境を提供し続けるために、より一層「どうするのが最善か?」というのを無意識に考えるのでとても良い循環だと思います。
困った時はお互い様。様々な世代の職員がいるから出来る「全員介護」



相手の事を家族だと考えるというのは、スタッフさん同士の関係にも当てはまるそうですね。
「全員介護」という考え方についても詳しく教えてください。



簡単に言えば「困っている人がいたら全員で助ける」や「できる人が、カバーしてあげる」です。
20代から70代まで幅広い世代のスタッフさんが働いているので、それぞれのライフステージでご家庭などで抱える事情も様々なんです。



確かに。子育て世代以外の方にも色々な用事や事情がありますよね。



お子さんの急な発熱で休むパパ・ママがいれば、周りのスタッフが「それはしょうがない、お互い様だから」とフォローに入ります。
一方で、ベテラン層には親御さんの介護や冠婚葬祭が増える時期もありますし、若手や独身のスタッフにだって、どうしても外せないプライベートの用事や急な体調不良はありますよね。



誰にだって「今日はどうしても」という日はありますもんね。



だから、誰かが大変な時は、その時に余裕がある人が性別や世代に関係なくサッと動く。
これまで誰かのフォローをしてきたスタッフが困った時は、今度は周りが「いつも助けてもらってるから!」と自然に恩返しをする。
そんな良い循環が生まれればと考えて取り組んできた結果、職員の皆さんにも協力頂いて出来てきた環境だと考えています。



特定の人に負担が偏るのではなく、その時々の「余力」をみんなで分け合っているんですね。



はい。この支え合いがあるからこそ、職員それぞれに「心の余裕」が生まれて、それが利用者様への温かいケアにも繋がっていると考えると、今後も大事にしたいポイントですね。
「お互い困っているときは助け合う」
一見、シンプルな考え方で実現は簡単なように聞こえますが、これが実現出来ないからこそ人手が足りないという事で苦労されている法人、事業所はかなり多くあります。
その中でこの意識を目標として掲げ、職員に浸透されて実現に向けて実際に動いている法人というのはとても珍しいと正直に感じました。
未経験から管理者へ。ここが長く安心して働き続けられる場所である理由


「職員自身が心身ともに満たされていなければ、利用者様に最高のケアは届けられない」
重永さんが語るこの信念は、単なる理想論ではありません。
職員の生活を守り、プロとしての自信を育むための「具体的な仕組み」に裏打ちされています。



『蔵の家/大樹』では、未経験からスタートして今では施設長や管理者として活躍されている方が多いと伺いました。なぜ、これほどまでに人が育ち、定着するのでしょうか?



利用者様だけではなく職員含め、関わる全員が幸せになることを本気で追求しているからです。
利用者様に質の高いケアを届けるためには、プロとして自信を持てることが不可欠。
そのために、法人が費用を負担して資格取得を支援し、職員全体のスキルアップが「給与アップ」に繋がる仕組みを数年前から地道に整えてきました。



地道な取り組み。その積み重ねがあるからこそ、今の管理者の方々も未経験・無資格から成長して、今では組織を支える存在になっているんですね。



もちろん「介護がしたい」という気持ちも大切ですが、未経験でも「素直、ポジティブ、明るい」方であれば、今の私たちの環境なら必ず活躍できます。
教育面でも、外部講師を招いて「誰が担当しても同じ質のケアができる」よう平準化を進めています。



同じ介護の技術を持てるように法人全体でサポートすることで、利用者様の満足度もあがり、作業効率が事業所全体で上がることで職員さんの適切な休憩時間の確保などにも繋がっていきますね。



今の現状に満足せずに、もっともっと利用者様にも職員の皆さんにも、様々な面で負担なく「蔵の家/大樹」で過ごす時間が楽しいなと思ってもらえるようにしていきたいなと思っています。



現場で「うまくいかないこと」があった時の考え方も、独特ですよね。
そこへの考え方を教えてください。



「できないからダメ」と責めるのではなく、「どうすればうまくいくか、一緒に仕組みを作ろう」というスタンスです。
失敗はあくまでその時の結果で次への糧と捉えます。
次にその同じ結果にならないように、出来なかった人や失敗した人のせいにはしません。



みんなで解決策を考えて、出来なかった事が出来るようになっていくように仕組化していくんです。
介護の世界が初めての方でも安心して働き続けることが出来ると言い切れるのも、この社内風土を定着させることが出来つつあるからだと思います。



これから介護にチャレンジしたい!まだ自身のスキルに自信がない、という方にはとても良い環境のように感じます。
次に言いにくいかとは思いますが、良いところばかりではなく、現在抱えている課題に関してもお聞かせください!
まだまだ満足はしない。「蔵の家/大樹」の解決すべき課題
「良いことばかりが書かれても……」
これを読んで頂いている皆様の気持ち、とても理解できます。
重永さんと有村さんに現在の法人、事業所としての課題、それに対しての改善策をお聞きしてみました。



あえて伺わせてください。現場のスタッフさんから「ここはもっとこうしてほしい!」という、リアルな要望が出ることはありませんか?
また「ここはこうしないといけないな」と感じられている点はありますか?



……まだまだ色々な面で100点、完璧ではないと思っているので様々な要望は上がってきます。
設備面などでいえば「駐車場が手狭になってきた」や「休憩室や更衣室が狭い」、「トイレの設備が一部古い」といった声が上がっているのは事実です。



働かれる皆さんからすると結構大事なポイントかもしれませんね。
重永さんはどうお考えですか?



そうですね、少しでも早く改善してあげたいという思いが強いです。
これまでは設備投資よりも、まずは「職員の給与や成長」への投資を最優先に動いてきました。
職員の生活が安定してこそ、良いケアができると考えていたからです。



まずは「人」を優先した結果としての、今の設備課題なんですね。



まだまだ満足はしていませんが、少しずつ職員の体制も整ってきました。
駐車場に関して近くの駐車場を借りる予定にまで話は進んでいます。
設備面に関しても常に利用者様が生活している状態での水回りの改修となると、少し時間はかかってしまうかもしれませんが「働きに行きたい!」と思えるよう具体的に改善案を練っていく段階に入っていくかと思います。
課題を隠さず、まずは「人」を、そして次に「環境」を整えていく。
その誠実な優先順位の付け方こそが、スタッフさんの「ここでずっと働きたい」という信頼の根拠なんだと感じました。
フルシフト正社員を募集中。それでも「個人の事情」をまず相談してほしい理由



ここからは具体的な募集について伺います。
現在、特に求めているポジションはありますか?



現在は夜勤を含めた全ての時間帯で動ける「フルシフトの正社員」の方を募集しています。



応募を検討する方にお伝えしておきたい事はありますか?



現在募集はフルシフトの正社員ではありますが「働き方に制限がある方はお断り」ということではありませんし、現に子育て中の方や日勤帯のみで活躍しているスタッフもたくさんいます。
まずは今の状況をお聞きした上で調整できるところはこちらでもしっかり対応していきます。



法人、事業所としての考え方に共感して、お互いに助け合える気持ちを持っている方はまず応募してみてくださいということですね。



それ以外にも「素直、ポジティブ、自身から学べる」という気持ちはとても大事にしたいポイントですので、介護経験は無くともこの3点を頑張れる方は大歓迎ですね。
プロへの第一歩を全員で支える。安心して着実に成長できるサポート体制



仮に未経験の方が「フルシフトの正社員」で入職された場合、どのようなスケジュールで業務に慣れ、独り立ちしていくのでしょうか?



まずは3ヶ月程度、実際の業務をしながらビジネススクールに通い、実務者研修の資格取得を目指していただき、現場の業務は3〜6ヶ月かけて日勤帯から順に覚えていく流れです。



半年ですか、これは全くの未経験者でも少し安心できるポイントかもしれませんね。
夜勤に入り始めるのは目安としてはどれくらいのイメージでしょうか?



基本的には私たちと相談しながら進めていきますので、明確に決めているわけではないです。
基本的にはという表現にはなりますが、夜勤に入るのも入職から半年以降が目安です。
思った以上に業務に慣れるのが早くて3ヶ月で入り始めた方もいますが、そこがしっかり知識、技術、利用者様からの信頼を得てからと考えていますので個人差は出ます。



大前提の考え方としては最初から完璧を求めません。
分からないことがあっても、すぐに駆けつける「伴走者」が必ずそばにいますのでどうすれば出来るようになるか?というのは一緒に考えていきましょう。
間違えることや、最初はできないことがあるのは当たり前なのでそれを家族のようにみんなでカバーし、全員でできるようになっていくのが『蔵の家/大樹』の良さですので安心して頂きたいです。



介護の経験がなくても「素直な優しさ」があり、人のために頑張りたい、新しいことにチャレンジしたい。そんな想いを持つ方には本当に安心出来そうですね!
応募の前に知っておいてほしいこと


「入ってみたら思っていたのと違った」というミスマッチは、お互いにとって良くありません。
「蔵の家/大樹」で働くうえで理解しておいて頂きたい点もいくつかあるみたいです。



応募を検討している方の中には、「蔵の家」か「大樹」どちらか一方で専念して働くイメージを持っている方もいるかもしれません。
実際どのような働き方になるのでしょうか?



どちらか片方の利用者様だけを担当するのではなく、状況に応じて「蔵の家」と「大樹」両方の利用者様のケアに入っていただきます。



両方の施設を行き来する、ということですか?



必要に応じてというイメージですね。
またこれも状況に応じてではありますが、兼務としてデイサービスの利用者様への対応が発生するケースもあります。
柔軟に対応頂く場合もありますので、この点はご理解いただければと思います。



もちろん、いきなり全てを任せることはありません。
最初にお伝えした通り、半年かけてじっくり慣れていただきます。
場所が変わっても「家族のようなケア」や「職員全員でのサポート」という基本は同じです。
チーム全体でフォローし合う体制なので、そこは安心して飛び込んできてほしいですね。
「蔵の家/大樹」の「働きやすさ」データまとめ



募集要項を拝見して、より具体的な現場のイメージを伺いたいのですが、残業は月に20時間前後、夜勤は月に5〜6回ほどあると伺いました。



働きやすさの追求はしていますがやはり介護の現場は楽ではないのも事実です。
職員同士のサポートし合う体制だけでなく、希望休は月に3日まで申請できますし、育休や産休の取得・復帰実績も積み上げてきました。長く働き続けてもらうための基盤は大切にしています。



平均介護度は2.5〜3程度、自立の方も3分の1ほどいらっしゃるとか。



利用者様の出入りもありますので、常にその割合というわけではありませんがいまは比較的そうですね。
利用者様との会話やレクリエーションなど、コミュニケーションを楽しむ余裕もあります。
職員の男女比も4:6とバランスが良く、活気のある職場ですよ。



福利厚生として「資格取得の費用面での支援」がある。
さらに現場での実践も組み合わさって、未経験からでも着実にプロへと成長していける環境が整っていますね。



少しでも「蔵の家/大樹で働いてよかった」と思える環境作りはしていきたいですね。時短勤務の相談にも柔軟に乗っています。
一生懸命に現場を支えてくれるスタッフが、自分自身のライフステージが変わっても「ここでなら続けられる」と思える場所でありたいんです。
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かいご図鑑編集部のまとめ
介護職の求人票でよく見かける「未経験歓迎」という言葉。
今回のインタビューほどその言葉に重みを感じたことはありません。
お二人とお話しして確信したのは、ここは単に「人手不足だから未経験でもいい」と言っているのではない、ということです。
無資格からスタートした仲間を、数年かけて施設長や管理者にまで育て上げてきた「地道な実績」こそが、この場所の本質なのだと肌で感じました。
「素直、ポジティブ、明るい」。介護の仕事が出来る出来ないのということよりも、介護職のプロを目指すうえで大切な資質を何より大切にし、仕組みで人を支えようとする重永事務長と有村施設長の覚悟。
条件面の数字を追いかけるだけでは決して見えてこない、この施設が持つ「育てることへの執念」と、そこから生まれる圧倒的な安心感。
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